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「がん免疫療法」は進化中

そもそもとは、人間の体内の細胞が増殖する際に何らかの異常を起こして本来の機能を失った細胞となったものがOLYMPUS DIGITAL CAMERA集まって出来た細胞の集合体です。もともと自分の体の一部ですから、人間の体の免疫システムは、体の外部から侵入してきた外敵とは見なさず、ウィルスなどのように排除するような活動はしません。そのような癌細胞を、体の免疫システムに認知させて、一番攻撃力のある獲得免疫である障害性T細胞に攻撃させようという考え方は、結構新しい考え方です。そもそも自然免疫以外に獲得免疫があり、また獲得免疫には液性免疫(B細胞によるもので、外敵に掛らないようにする抗体を作る)と細胞免疫(T細胞によるもので、外敵を攻撃し殺傷する)があるということを理解出来ているのは、最近の免疫理論をしっかりと勉強している医学研究者ということになるそうです。そして、人間の体は、自然免疫と獲得免疫を別々に使っている訳ではありません。総合的に外敵と闘っているのです。ですから、癌を自らの体の免疫システムで殺させようという試みも、当然ながら自然免疫と獲得免疫の組合せでなければ効果は難しいということになります。

ということはです。自然免疫のNK細胞をどのように大量に投与しても効果は少ないというのは、新しい免疫理論では当然のことになります。

フュージョン細胞治療は、樹状細胞と癌細胞の融合細胞を抗原提示細胞として利用し障害性T細胞を活性化させると同時に、IL12注射によって自然免疫を活性化させるということで、効果を狙っているのです。この融合細胞はFusion Cellといいますが、がん免疫治療(Cancer Immunotherapy)で、樹状細胞(DC、Dendritic Cell)と腫瘍細胞(癌細胞、Tumor Cell)をFusionさせたものを抗原提示細胞として利用するという手法は、ハーバード大学医学部のキーフ博士の開発によるもので、その後ごく一部の研究者が世界で研究をつづけているものです。

大手の製薬会社は、大量生産できることが前提で薬や治療法の開発を行っていますから、癌細胞が表面に出している抗原と呼ぶ特徴的なタンパク質を探りだしてこれを体内に注入することで、免疫システムが癌細胞の存在を認識して攻撃するであろうという理論、すなわち「がんワクチン、ペプチドがんワクチン」と言われるものには、資金投下してアメリカでもいくつもの開発臨床試験を実施中です。日本の大学病院でも、良く目にするものですね。しかし、この理論は、どうやら上手くいかないということが明らかになりつつあります。(参考ロイターニュース:GSKががんペプチドワクチンの第3相試験を中止 http://reut.rs/1lmAIJ9

樹状細胞を抗原提示細胞として利用した前立腺癌の免疫ワクチン治療法は、FDAの認可を受けた癌免疫治療の第1号です。米国Dendreon社のProvengeというワクチン療法です。(http://www.dendreon.com/products/provenge/

つまり、大手製薬会社はなんとか大量生産モデルでも出来る癌免疫治療がないかというアプローチをしているけれどなかなか結果は出ておらず、米国のベンチャー企業が個別医療としての樹状細胞を利用する癌免疫ワクチンでFDAの認可を初めて取得(2010年)する方向に動いているということなのです。

 

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