がん免疫細胞治療法や重粒子線治療などに注目すべき本当の理由

日本の病院は、がん患者に対して最近に早めに引導を渡す、すなわち「これ以上治療法がありません」と言うようになってきています。所謂がんのスタンダード治療しか提供しない。その理由はなぜなのかを考えてみましょう。

先ず、ビジネスで「がん治療市場」という言葉を使いますが、この市場規模は米国全体で年間約6兆円、日本も2~3兆円の市場と言われています。この大部分は化学療法の抗がん剤治療薬の売上となっています。社会保険は随分と製薬会社に払っていることになりますね。

では治療費全体ではどうかというと、2006年日本において、新たながん発見率(罹患数)=年間約676千人で、このがん治療に掛かる自己負担額は平均916千円であり、自己負担はほぼ3割ですから、実際の費用は300万円に近いと思われます。つまりがん治療に費やされる経費は、個人負担が100万円x67万人=約60兆円、国全体ではこの三倍の180兆円余りになるという計算です!これはもうとてつもない金額ですね。

がん治療費は、がんの進行度により、著しく異なります。胃がんを例にとると、進行度Iの初期がんでは平均100万円/人ですが、進行度IVの後記がんでは200万円から300万円かかります。この後期がん治療の試算は手術をしなかった場合であり、胃がん手術をした場合は手術のみで100万円~200万円の経費が掛かります。患者の立場からすると、掛かる経費は治療費だけではありません。病院への入院費も馬鹿になりません。入院費は、各がん腫により、また進行度により入院日数が変わりますが、平均すると一人約100万円といったところです。これらすべてを合計すると、進行度がIIIまたはIVのがん患者に掛かる経費は、治療費:200万円、手術費:200万円、入院費:100万円、で合計500万円にもなるのです。

国の立場に立ったら、なんとかこのコストを減らしたいと思うことでしょう。

その意識が、転移のあるがんや再発がん、末期がんなどの治療について、かなり早い段階から見切りをつけて引導を渡すような最近の病院(特に大学病院やがん専門病院)の治療方針に影響しているとしたら、大変なことだと懸念しています。

 

これらスタンダード治療のコストを減らす意味でも、先端がん治療が期待されてもいいと思うのですが、では、先端がん治療と言われる市場はどれくらいでしょうか。これは、ほとんど自己負担であり(最近では民間医療保険でカバーされるものも出てきましたが)、その中で重粒子線放射治療と陽子線放射治療などはそれぞれ約300万円の経費が掛かります。重粒子放射線治療法の受診者が2004年で約2万人、陽子線放射治療受信者もほぼ同数の2万人でした。

先端治療としては、ほかに「免疫がん治療」があります。免疫細胞による治療とがん抗原ペプチドによるがんワクチンが存在しますが、現在行われている免疫がん治療はがん認識細胞投与による免疫細胞治療です。免疫細胞治療では活性化T細胞投与(NK細胞)による治療法と、がん細胞と樹状細胞を混合培養し、がん細胞を認識した樹状細胞を投与し、殺傷性T細胞(CTL)誘導によるがん治療に分かれています。両方の治療ともがん細胞とT細胞の混合培養または樹状細胞とがん細胞の混合培養法、またはがん細胞でよく発現がみられるWT1ペプチドを樹状細胞と混合培養し、樹状細胞を活性化したものを用いています。

この治療法の問題点は、樹状細胞がすべてのがん細胞抗原を認識してるかが問題であることと、樹状細胞のみで十分なCTLが誘導されるのかという点にあります。事実、テラではCTLを培養し、患者に投与する治療法が試みられています。しかし、このCTLの培養もがんを特異的に認識しているCTLかどうかは不明です。

最近になって、これらの細胞療法をあわせたもの(NK細胞治療と樹状細胞治療をあわせて行う)ものや、化学治療、放射線治療と併せたものが治療として使われ効果をあげているものもあるようです。

 

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