がん種類別の抗がん剤治療を学ぶ

 抗がん剤が効けばよいのですが、「〇〇と△△の抗がん剤が効かなければ、もはや治療法はありません」という宣告されることも覚悟しなければならないと聞いています。そこで抗がん剤の治療ってどうなっているんだろうという疑問を持ちました。

前回は抗がん剤の種類について調べましたが、今回は癌の種類と使用される抗がん剤について、勉強してみます。

種類 使用抗がん剤
脳腫瘍 脳は最も重要な臓器であるため、人体はその防護的な構造として、有害物質が脳へ進入するのを防ぐ「血液脳関門」という特殊な血管壁を備えています。通常の抗がん剤は、この壁を通って脳内に入ることができないため、効果が期待できませんでした。しかし、ニトロソウレア系アルキル化剤のニムスチン(ニドラン)やラニムスチン(サイメリン)は、分子量が小さいので血液脳関門を通過できるという特徴があります。したがって、多くの場合はニムスチンかラニムスチンが第一選択薬となります。   さらに、2006年にはテモゾロミド(テモダール)が悪性脳腫瘍の抗がん剤としては19年ぶり承認されました。副作用が少なく患者さんに優しい抗がん剤として期待されています。   テモゾロミドは前述の2剤と同様にアルキル化剤ですが、こちらは経口タイプとなっており、注射薬と薬物動態(薬が体の中に入った後、どのように変わって行くか)が同じであるところに大きな特徴があります。
肺がん 非小細胞肺がん                       

肺がんの約80%を占め、小細胞肺がんに比べると進行が遅いのですが、抗がん剤が効きにくいのが特徴です。抗がん剤による治療では、シスプラチンやカルボプラチンなどのプラチナ製剤に、別の抗がん剤を加えた二剤併用療法が標準的な治療法となっています。主なものとしては、イリノテカンとによるシスプラチン「IP療法」、パクリタキセルとカルボプラチンによる「TC療法」、ドセタキセルとカルボプラチンによる「DC療法」、ゲムシタビンとシスプラチンによる「GP療法」などがあります。ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)は、重度の副作用が問題となりましたが、アジア地域の人、特に女性に対して有効なことがわかっています。また、各患者に対してこの薬の効果があるかどうかを見分ける手法や副作用を抑える方法も研究されています。また、切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺がんを対象としたエルロチニブ(商品名:タルセバ)が200710月に承認されました。                   

小細胞肺がん                                                       

進行が早く、発見されたときには多くの人に転移がみられます。抗がん剤がよく効き、近年は生存率が以前の2倍に向上しており、限局型では治癒が期待できます。抗がん剤治療では、イリノテカンとシスプラチンの組み合わせによる「IP療法」が、第一選択肢とされています。また、シスプラチンとエトポシドによる「PE療法」も有効です。そのほか、このPE療法とシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンによる「CAV療法」を交互に行うPE/CAV交代療法などが用いられることがあります。

乳がん 乳がんの化学療法は多くの場合、手術で取り除けなかったがん細胞を殺すために行われます。治療の中心となる手術に追加して行うので「補助療法」と呼びます。補助療法の登場により、乳がんの再発はかなり抑えられるようになり、手術のみの治療に比べて520%減少しています。最近では、手術の前にがん病巣を小さくするために化学療法を行うことがあります。これは「新補助療法」といいます。がんが大きくなった患者でも、新補助療法を行うと、乳房温存手術が可能になることがあります。ほかにも、がんが既に離れた臓器に転移しているときや、再発したときには、化学療法が中心となります。化学療法では普通、何種類かの薬を組み合わせて治療します。標準的な組み合わせは次のとおりです。        

CMF療法                                                    

シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシルを組み合わせます。主にリンパ転移のない場合に行います。                                                        

CAF療法                                                    シクロホスファミド、ドキソルビシン、フルオロウラシルの組み合わせです。フルオロウラシル以外の2剤を使うものを「AC療法」、ドキソルビシンの代わりにエピルビシンを用いるものは「CEF療法」と呼びます。そのほか、植物アルカロイドに分類されるタキサン系と呼ばれる種類の抗がん剤で、比較的最近登場したパクリタキセルやドセタキセルなどを、単独もしくは前記の化学療法とあわせてよく用います。HER-2陽性の再発・転移性乳がんにはトラスツズマブとパクリタキセルの併用が有効とされています。

食道がん 現在では、シスプラチンとフルオロウラシル(5-FU)の2剤を組み合わせたPF療法が最も広く用いられており、がんが消失する例もみられます。これらを点滴で45日間投与し、効果があるようなら、34週間のサイクルで繰り返します。フルオロウラシルとシスプラチンはいずれも放射線増感作用があり、放射線と同時に投与するか、もしくは先行して投与することで、がん細胞の放射線に対する感受性が向上するとされています。この化学療法と放射線治療の併用は、手術ができない進行がん患者だけでなく、手術の前後にも行われています。また、プラチナ製剤のネダプラチンが食道がんに対して、シスプラチンと同等、もしくはそれ以上の効果を示すことがわかりました。この薬はシスプラチンほど腎臓や消化器への影響もないとされているので、今後シスプラチンにとって代わるかもしれません。近年、新たに植物アルカロイドのドセタキセルの食道がんに対する使用が認められました。ドセタキセルは、細胞分裂の際に染色体を新生細胞へ運ぶ微小管に作用して、がん細胞の増殖を阻害しする働きがあります。また、ゲフィチニブやセツキシマブなど分子標的薬の臨床試験も行われており、効果が期待されています。
胃がん 胃がんは基本的に薬に対する感受性が乏しい、すなわち抗がん剤が効きにくいがんとされてきました。しかし、シスプラチンやイリノテカン、テガフール・ギエラシル・オテラシルカリウムの登場により化学療法の方法は大きく変わりつつあります。特に注目されているのが、抗がん作用のある「テガフール」、その効果を高める「ギメラシル」、副作用を軽減させる「オタレシルカリウム」という抗がん剤を改良したテガフール・ギエラシル・オテラシルカリウム(以下、TS-1)です。従来のフルオロウラシルよりも効果が高く、副作用が少ないのが特徴です。実際、フルオロウラシルの奏効率が20%以下だったのに対し、TS-149%と、2倍以上になっています。また、錠剤の飲み薬ですので外来治療が可能な点も大きなメリットです。TS-1は、単独で使っても効果が高いのですが、さらに治療効果を高めるため、ほかの抗がん剤とあわせて使う「併用療法」も研究が進んでいます。併用療法で使われるほかの抗がん剤は、いずれもTS-1と副作用が重ならないものです。  シスプラチン、イリノテカン、ドセタキセル、パクリタキセルなどがあり、このうち1種類を併用します。これらの抗がん剤は、点滴や注射で投与されるため、初めのうちは入院が必要です。併用療法は、TS-1単独では効かない人にも効果がみられ、期待されている治療法です。TS-1単独では奏効率が49%だったのが、シスプラチンとの併用で76%に上昇したという研究データも得られています。その他の併用療法は以下の通りです。FP療法  フルオロウラシルとシスプラチンの組み合わせです。フルオロウラシルを持続的な静脈注入で、またシスプラチンの点滴による静脈注入で、それぞれ週5日投与し、これを4週間繰り返します。効果があればされに繰り返します。 MF療法 マイトマイシンとフルオロウラシルの組み合わせです。 FAM療法 フルオロウラシルとドキソルビシンとマイトマイシンの組み合わせです。
FEM療法 フルオロウラシルとエピルビシン、マイトマイシンの組み合わせです。
胆嚢がん これまで、胆嚢がんでは、抗がん剤の効果はあまり期待できませんでした。しかし、2006年に適応追加となった塩酸ゲムシタビン(商品名:ジェムザール)が使われるようになり、治療成績は以前より上がってきています。塩酸ゲムシタビンによる治療は、手術が困難な進行がんに対して行なわれます。また手術後に再発予防効果を期待してこの治療が行われることもあります。   治療は「週1回の点滴を3週間継続し、その後1~2週間休薬」を1コースとして繰り返します。これは、外来で受けることができます。
膵臓がん 膵臓がんの完治には手術が必要ですが、早期発見が難しいという特徴があるため、がんであることがわかった時点では、既に手術が不可能なケースが多くなっています。そのため、抗がん剤は、主に手術ができない場合や、手術後の再発防止を目的に使用されます。膵臓がんの化学療法は、以前はフルオロウラシル(5-FU)が用いられていました。その後、2001年にゲムシタビン(ジェムザール)という薬が承認され、保険治療が行えるようになりました。この薬は週1回、30分程度の点滴ですむため、外来治療もできます。   ゲムシタビンが使用できるようになったことで、以前に比べて予後が良好になっています。切除不能な進行膵臓がんの患者さんを対照にした海外の臨床試験では、フルオロウラシルの1年生存率が2%であったのに対し、ゲムシタビンは18%と、有意に優れていることがわかりました。   日本膵臓学会がまとめた膵臓がんの「診療ガイドライン」では、現在のところ、ゲムシタビンの使用が標準治療として推奨されています。   新たな抗がん剤の承認も進んでいます。2006年には、胃がんなどの治療で使用を認められていたテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1)の膵臓がんでの保険適用が承認されました。
大腸がん 大腸がんは、早期なら手術で治りやすいがんですが、転移や再発によって手術不能な場合には、抗がん剤治療が中心となります。近年は、新しい組み合わせによって、がんの縮小、症状コントロール、再発予防、延命、QOL向上などの効果が報告されています。フルオロウラシルとレボホリナートカルシウムという2種類の薬を組み合わせる5-FU/l-LV療法が中心でしたが、最近では最近では、これにオキサリプラチンを加えたFOLFOX4療法、イリノテカンを加えたFOLFIRI療法が標準治療となりつつあります。なお、FOLFIRI療法と同じ組み合わせで、投与スケジュールが異なるIFL療法もよく行われます。   20076月、大腸がんの抗がん剤治療において、ベバシズマブ(商品名:アバスチン)に健康保険が適用されました。ベバシズマブは「分子標的治療薬」で、がん細胞のみに作用する性質があります。   ベマシズマブは、進行がんや再発がんに対して使用されます。単独では用いず、前述の2剤併用あるいは3剤併用の組み合わせに加える形で使用します。海外の臨床試験では、FOLFOX療法(フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン)にベバシズマブを加えると、加えない場合より生存期間が平均で5ヶ月長くなったという結果が出ています。   ただし、この薬の使用は高額なので、十分に検討して使う必要があります。また、ベマシズマブを使用すると高血圧が多く現れ、まれに血栓ができたり、消化管に孔が開くといった重篤な副作用が現れることもあります。   20087月に承認された、同じく進行がんや再発がんを対象としたセツキシマブ(商品名:アービタックス)も、ベバシズマブと同じく、FOLFOX療法に上乗せして使用されると予想されています。また、第三の分子標的薬としてパニツムマブ(商品名:ベクチビックス)も20086月に製造販売承認申請が行なわれています。
腎臓がん 腎臓がんは現在のところ、手術のみが完治を期待できる治療法です。抗がん剤の効果はあまり望めないとされていますが、その中では、生物学的応答調節剤が多少の効果を見せています。がんの転移が認められる場合には、インターフェロン・α(アルファ)が用いられます。 特に肺転移に有効で、患者の2030%に転移巣の収縮がみられるとされています。インターフェロンは自己注射が認められているので、外来での治療が可能です。   2008年、腎臓がんに対する初の抗がん剤となるソラフェニブ(商品名:ネクサバール)とスニチニブ(商品名:スーテント)が承認されました。対象は、転移があるなど進行したがんのみです。   アメリカの学会で発表された臨床データでは、治療後、がんが再び悪化するまでの期間は、インターフェロンの5か月に対し、スニチニブは11か月と倍増しましたが、明確な延命効果は確認できなかったとされています。   承認の条件として、泌尿器科、抗がん剤治療の専門医がいる医療機関での使用に限られ、全患者を登録して副作用などを調査、報告することが義務づけられています。
膀胱がん 膀胱がんに対しては抗がん剤が比較的効きやすく、半数以上の患者に治療効果が期待できる抗がん剤の併用療法が見つかっています。主に、膀胱内注入療法と全身化学療法が行われます。膀胱内注入療法  膀胱の内部に直接抗がん剤を注入する手法です。主に早期がんの患者に対し、がん組織の切除後、補助的治療として用います。一般には結核ワクチンとしても使用されるBCGが用いられますが、マイトマイシンCドキソルビシン、エピルビシン、ピラルビシンなども使用されます。 全身化学療法  メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチンを組み合わせた「M-VAC療法」が、膀胱がんに対する併用療法の世界標準となっています。  この治療法は、手術後の補助化学療法としても、また進行・転移がんに対する最初の治療としても用いられます。進行・転移がんでも、縮小すれば、手術によって完治を目指すことも可能です。
前立腺がん 従来、前立腺がんには抗がん剤が効かないとされ、その治療法は病気や悪性度によって異なりますが、手術療法、トモセラピーや小線源療法が注目されている放射線療法、男性ホルモンを低下させてがんの増殖を抑える内分泌療法が中心となっています。ホルモン剤では、精巣からのテストステロンという男性ホルモンの分泌を抑えるリュープロレリン(リュープリン)やゴセレリン(ゾラデックス)が用いられます。   また、男性ホルモンの働きを抑える抗アンドロゲン剤(フルタミドやビカルタミド、クロルマジノンなど)、男性ホルモンと拮抗するエストロゲン剤(エチニルエストラジオール、ホスフェストロール)が使用されています。   抗がん剤では、エストロゲン剤とナイトロジェンマスタードの配合剤であるエストラムスチンが使われることがあります。そのほか、テガフール・ウラシル(ユーエフティー)やペプロマイシン(ペプレオ)が用いられることがありますが、効果は限られています。   しかし、近年の研究ではドセタキセル(タキソテール)という抗がん剤が有効だとわかってきました。他の抗がん剤と併用することで治療効果を上げています。このドセタキセルを使った臨床試験では、6割ほどの患者さんに効果があることが明らかになっています。   生存期間の改善効果は年齢、疼痛(とうつう)の有無、PSA(前立腺特異抗原)の値、全身状態関わらず認められており、なかでも、PSAが高い群、疼痛がない群、全身状態が良い群より高い改善効果が確認されました。   国内でドセタキセルが適応となるのは乳がん、非小細胞肺がん、胃がん、卵巣がん、食道がんで、前立腺がんに対しては20084月現在、健康保険が適用されていません。   ただし、追加適応の申請は既になされており、厚生労働省による優先審査項目にも指定されていることから、近い将来適用されると考えられています。
子宮がん 化学療法は、手術後の補助療法として行なうほか、放射線療法の効果を高めるため、全身に広く転移しているとき、再発した場合などに実施します。最近、多くの施設が、Ⅰ期かⅡ期の子宮頸がんで腫瘍が大きい人の手術前に、抗がん剤を用いて腫瘍を小さくする試みをしています。   もっともよく使用されるのは、シスプラチンの単剤、BOMP療法(ブレオマイシン、ビンクリスチン、マイトマイシン、シスプラチン)、TP療法(パクリタキセル、シスプラチン)、PI療法(シスプラチン、イホスファミド)などです。ブレオマイシンの代わりにペプロマイシンもよく用います。   手術や放射線と、これらの抗がん剤治療を組み合わせることができる場合には、完治の可能性もあります。   子宮体がんでは、AP療法(シスプラチン、ドキソルビシン)、これに、シクロホスファミドを加えたCAP療法を行なうのが一般的です。   このほか、代謝拮抗剤のフルオロウラシル、植物アルカロイドのエトポシド、イリノテカンなどを使用することもあります。   最近では、卵巣がんに使用されるパクリタキセルまたはドセタキセルとカルボプラチンの組み合わせが、子宮体がんにも効果があることがわかってきました。
卵巣がん 一般に卵巣がんは、抗がん剤がよく効くがんに分類されており、治療効果も向上しています。抗がん剤の使用により、40%以上でがん細胞の完全消失が認められます。しかし、全身再発を起こした場合は、延命効果はみられても完治することは稀です。また、組織型によっては、あまり効かないケースもあります。抗がん剤治療は、Ⅰa期以外では必ず必要とされています。シスプラチンは手術不能な進行がんにも効果があり、単独または併用療法として広く用いられています。   一般的なのは、CAP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、シスプラチン)の多剤併用療法です。そのほか、CP療法(シクロホスファミド、シスプラチン)、EP療法(エトポシド、シスプラチン)、JP療法(カルボプラチン、シスプラチン)、TP療法(パクリタキセル、シスプラチン)、TJ療法(パクリタキセル、カルボプラチン)などがあります。   卵巣がんは発症年齢がほかのがんと比べて低いため、再発の可能性が比較的高くなっています。そして、治療を続けるうちに、これらの抗がん剤は効かなってきます。その際に用いられるのが、再発した卵巣がんを追加適応として20094月に承認されたドキシルです。   再発した卵巣がん患者の約20%で、がんが小さくなるなどの効果があるとされています。生存期間をどれだけ延ばせるか明確なデータはまだありませんが、がんに伴う痛みなどの症状緩和が期待できます。
白血病 急性白血病は、その種類にもよりますが、抗がん剤がよく効くため、白血病細胞を排除して、骨髄が正常な血液を作り出せる状態に戻し、完全に治すことが期待できます。急性骨髄性白血病では、一般的にはアントラサイクリン系薬剤とシタラビンが基本となります。例えば、IC療法(イダルビシン+シタラビン)またはダウノルビシン+シタラビンの2剤併用が選択されます。   再発または難治性で、CD33(タンパク質)が陽性の急性骨髄性白血病には、ゲムツズマブオゾガマイシンが有効です。   急性前骨髄球性白血病には分子標的薬のトレチノインが非常に有効です。単独でも用いられますが、多くの場合、他の抗がん剤(先述のシタラビンやダウノルビシン、ダウノルビシンなど)と併用されます。   急性リンパ性白血病では、VP療法(ビンクリスチン+プレドニゾロン)にアントラサイクリン系抗生物質(ダウノルビシンやドキソルビシン)の散在が基本となっています。これにL-アスパラキナーゼ、シクロホスファミドが必要に応じて加えられます。   再発または難治性のT細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)には、ネララビンが、初めて単剤での有効性が認められています。本剤は希少疾病医薬品の指定を受け、2007年に保険承認されています。   慢性白血病は、多くの場合、慢性期では薬でコントロールでき、普通の生活が送れます。 しかし、慢性期を経た後、未熟な白血病細胞が増加する(急性転化)ことがあります。とくに慢性骨髄性白血病の場合、これまでの抗がん剤による治療では平均3年で急性転化を起こし、亡くなる例が多く見られました。   その慢性骨髄性白血病の治療に大きな変化をもたらしたのが、分子標的薬のイマチニブです。   従来、慢性骨髄性白血病の慢性期には、ヒドロキシカルバミドやインターフェロンαが標準治療薬でしたが、イマチニブはそれより高い有効性を示したので、高齢者では第一の選択薬となっています。慢性期では、治療を目的として、造血幹細胞移植が行なわれます。   急性転化した場合には、ビンクリスチンとプレドニゾロンを含む多剤併用療法が選択される場合が多く、シタラビン+アントラサイクリン系薬剤が用いられることもあります。
多発性骨髄腫 多発性骨髄腫の治療は、異常な形質細胞を破壊して、病気の進行を遅らせることが目標となります。ただし、抗がん剤を用いる治療は、異常な形質細胞だけでなく、正常な血液細胞も死滅させるので、血液内科医による実施が望まれます。もっともよく使用される抗がん剤は、メルファラン(アルケラン)もしくはシクロホスファミド(エンドキサン)です。またビンクリスチン(オンコビン)とドキソルビシン(アドリアシン)も有効と考えられています。   また、2006年に分子標的薬のボルテゾミブ(ベルケイド)が承認され、日本でも使用できるようになりました。現在のところ、難治性または再発した多発性骨髄腫で、従来の標準的な治療が効かなかったか、その治療後に再発した人が対象となっています。   そのほか、かつて催奇形性があるために使用禁止となったサリドマイドが、多発性骨髄腫の治療薬として有効であることが証明され、欧米諸国や韓国などで承認され、サリドマイドを含む併用療法が標準的な治療薬となりつつあります。日本では、藤本製薬によって治験が終了し、承認申請が行なわれ、2008年末までに販売が再開される見通しとなっています。   治療に難渋している多発性骨髄腫では、サリドマイド単剤でおよそ35%、ステロイドホルモン剤のデキサメタゾンとの併用でおよそ50%の患者さんに有効性が認められています。   また、他の抗がん剤との併用によって、さらに高い効果が報告されています。したがって、サリドマイドが承認されたなら、難治は再発の多発性骨髄腫に対して、救済治療の第一選択肢になりうると考えられています。

【引用元】抗がん剤の種類と副作用

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